株式併合により端株が生じる場合の反対株主の株式買取請求と株式買取価格決定申立
株式買取請求と株式買取価格決定申立
株式併合は、少数株主の締め出し(スクイーズアウト)の手段として利用されることが多くなってきました。
複数の株式を1株にまとめる株式併合という手続は、かつてから存在していましたが、株式併合によって端株となり議決権を失う少数株主が争う手段は、株主総会決議取消訴訟しかありませんでした。
しかし、平成26年に会社法が改正され、株式併合に反対する株主は会社に株式買取請求をすることができるようになりました(会社法182条の4)。
そして、株式の買取価格について協議が調わなかったときは、裁判所に対して、価格の決定の申立をすることができます(会社法182条の5第3項)。
株式買取価格決定申立に至る手続
会社が株式併合を行う場合、株主総会によって、併合の割合、効力発生日等を決議しなければなりません(会社法180条2項)。
通常の株式併合ですと、会社は、効力発生日の2週間前までに株主に対する通知か公告が行われますが(会社法181条)、株式併合によって株式が端株化される場合には、株式併合についての株主への通知・公告の期限が20日前となります(会社法182条の4第3項)。
これに対して、株式併合に反対し、株式買取請求を行おうとする株主は、効力発生日の20日前から効力発生日の前日までの間に、株式買取請求を行う株式の数を明らかにして株式買取請求をしなければなりません(会社法182条の4第4項)。
株券が発行されている会社について株式買取請求を行う場合には、株券を会社に提出する必要があります(会社法182条の4第5項)。一度、株式買取請求を行うと、会社の承諾がない限り撤回ができないので注意が必要です(会社法182条の4第6項)。
株式買取請求後、株主と会社との間で、株式の価格について協議をしていくことになりますが、効力発生日から30日以内に協議が調わなかった場合には、株主または会社から、協議期間満了日後30日以内に、裁判所に対し、株式買取価格決定申立を行うことになります(会社法182条の5第2項)。